DX推進を進めるならまずは赤字事業から!?不二家に学ぶ成功率の高いDX戦略を解説 【GROWTH News】vol.2
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DX推進を進めるならまずは赤字事業から!?不二家に学ぶ成功率の高いDX戦略を解説 【GROWTH News】vol.2

―――毎回、モバイルマーケティング研究所が厳選してきた注目すべきニュースから“GROWTH”につながりそうなポイントをピックアップする「GROWTH News」。プレゼンターによる鋭い洞察を含めたニュース解説に、10年以上デジタルマーケティングに携わってきたGROWTH LABの三石所長が、マーケターとしておさえておくべきポイントはどこなのか、切り込んでいきます。

今回のプレゼンターは、国内外のリテールテックを10年以上見続けてきた株式会社DearOne代表取締役社長の河野恭久。前回は、河野さんと共に「りそな銀行アプリ400万ダウンロード突破」という記事から、りそな銀行アプリの成功の理由を探りました。河野さんと共に2回目に取り上げるニュースは「不二家があえて赤字の洋菓子部門からDXを始めるワケ」

それでは、はじめましょう!

❚ 不二家の「洋菓子」は実は長年赤字!あえて売上の少ない部署からDXを開始してリスクを軽減

三石所長(以下、三石):「GROWTH News」2回目となる今回も、ニュースプレゼンターは前回に引き続き、株式会社DearOneの代表取締役社長 河野さんです!

河野恭久さん(以下、河野):今回もよろしくお願いします! 早速ですが、今回ピックアップしたニュースは、「不二家があえて赤字の洋菓子部門からDXを始めるワケ」です。
(※編集部注・河野さんが他にピックアップしたニュースについては、こちらの記事をご覧ください!)
今回も“要点”をこちらにまとめてありますので、まずはご覧ください。

不二家ニュースの要点まとめ.pptx (1)

河野:不二家といえば、国内を代表する老舗のお菓子メーカーですね。不二家には大きく分けて2つの事業があり、店頭などでケーキを販売する「洋菓子」と、スーパーなどでカントリーマアムなどを販売する「菓子」があります。

三石:不二家というと、洋菓子のイメージの方が強いですね。その売り上げのバランスがどんな感じになっているのか気になります。

河野:そこなんです!売上高構成比を見ると、実は洋菓子事業は全体のわずか2割で、一方の菓子は7割超え。さらに、洋菓子事業は長年“赤字”であり、会社の利益を支えているのは「菓子事業である」ということなんです。これ、僕初めて知りました。

三石:えー! それは僕も知らなかった。でも、不二家の代表的なお菓子「カントリーマアム」や「ホームパイ」、「LOOK」などって、全国のスーパーやコンビニに必ず置いてありますもんね。そう考えるとピンとくるかも。

河野:そうなんですよ。僕も読んで、なるほどと思いました。この前提があったうえで、ここからが本題です。不二家はDX(デジタルトランスフォーメーション)化を、あえて赤字事業の洋菓子部門から始めているんです。

三石:赤字部門からDXをスタートですか。普通は逆に調子の良さそうな部署から始めそうな気がします。なぜ赤字事業からDX化を始めたのでしょうか?

河野:1つは、黒字事業は会社の生命線だから失敗できませんが、赤字事業はDX化を失敗してもリスクや影響が少ないこと。あとはリターンの問題です。既に98%で黒字が出ているような菓子事業でDXを推進して、仮に成功して98%が99%になったとしても、その導入インパクトは小さいですが、赤字事業は少しでも改善すれば大きなリターンになります。

三石:なるほど!その視点は面白いし、他の企業でDXを始める時に参考になりそうですね。

河野:そしてこの記事内で「見逃されがちな視点」として書かれているのは「特に大企業になればなるほど最初のAIプロジェクトは失敗するわけにいかなくなる。そのプロジェクトの成否が、今後、企業でDXをやるかどうかの鍵を握るから」。これも非常に説得力がありますよね。

三石:その通りですね。

≪三石所長`s Memo≫
DXを始めるにあたり、企業にとって最初のプロジェクトの成功はとくに
重要。あえて赤字の部門で挑戦して、リスクを避けるという作戦もアリ!

河野:また不二家の場合は、理由はそれだけではなく、洋菓子は売れ残るとすぐに廃棄になってしまうので、売上予測にAIを導入することで廃棄ロスを最小限に抑えたかったというところもあるようです。そこで、FOME診断で実現可能性や応用性などを判断した結果、AI導入に至ったのです。

三石:FOME診断は有名ですね。とりわけ大きい企業であれば、AI導入を決断する際に参考にしてもらいたいですね。

(編集部注:FOME診断とは、AI導入を決めるためのひとつの判断方法として知られています。
①実現可能性(Feasibility)、②応用性(Opportunity)、③検証性(Measurability)、④倫理性(Ethics)の4つの視点に対して、数値を出して評価する方法です。)

❚ 日本企業の大半は、まだ1番下!?DX推進は「5つのステージ」に分けられる

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河野:現在、世の中で「DX」という言葉自体がバズっています。今回取り上げた不二家の他、多くの企業がDX推進に取り組み始めている状況です。その際に、「まずはDXをどのように始めたらよいのか」という壁にぶち当たります。

三石:DXを成功させるためには、まず企業がきちんとスタートとゴールがしっかり見えている必要があると思います。重要な問題ですね。

河野:そこで、このニュース配信元のダイヤモンドオンラインさんはDX推進を次の5段階にまとめています。

「デジタルトランスフォーメーションの5つのステージ」
1.基礎ステージ、
2.サイロ(縦割り)ステージ、
3.部分的統合ステージ、
4.全社的統合ステージ、
5.デジタル化した会社のDNA

三石:DXは複雑なイメージがあるので、ステージ分けされるとわかりやすいですね。

河野:そうですよね。そして、国内企業の多くはどこにいるのかというと、まだ1段階目の「基礎ステージ」。部署内のプロセスの一部を自動化するところから始める必要があります。

三石:なるほど。そこで「どの部署から自動化を取り入れたらよいか」を企業が考える際に、今回の赤字事業からDXを始めた不二家の事例は参考になりそうですね。

≪三石所長`s Memo≫
DX推進は5段階のステージに分けられるが、国内はまだ
「どの部署から自動化するか?」を始める段階。
その作戦を立てる際に、赤字事業から始めた不二家を参考にしよう!

❚ DX推進のために必要なのは、「DX専門部署の設立」と「現場の理解」

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三石:不二家のこの判断は、洋菓子事業単体でできることではありませんね。全体を見て、「まずは赤字事業の方がいい」と仕切られたのが素晴らしいと思いました。河野さんも、様々な企業のDX推進のお話を伺う機会が多いと思いますが、DXを推進するうえで、全体をうまく仕切っていくためのポイントはどういうところにあると思いますか?

河野:ニュースには書いてなかったんですが、僕が普段、お取引先と接している中で感じることは、やはり検討段階からDX専門部署を設置して、そこが中心になってリサーチしていくことが多いと思います。

三石:まずは社内にDX専門部署をつくるんですね。

河野:はい。不二家さんもおそらく、経営陣が議論したというよりは、DX専門の担当の方がAIによる廃棄ロスなどを調べながら、最終的な経営陣のジャッジを仰いだんじゃないかと予想されます。

三石:でも、大企業は一部の誰かが「何かやるぞ」と頑張っても、協力してくれないケースもありますよね。「あいつら何だよ、稼働だけ奪いやがって」みたいな感じで(笑)。そのあたり、腰の重い部署のスイッチの動かし方のポイントはありますか? 

河野:僕自身の経験からお話すると、「最終的にDXがもたらす効果をいかに表現するか」「そのゴールを伝えるか」が非常に重要になります。今の質問でいうと、DXを実際に動かす必要のある現場はなかなか動いてくれないですね。目の前の利益を日々のタスクで追われているので、「面倒くさい」「時間がかかる」となるわけで。

三石:どうにか、その衝突を避ける方法はありませんか(笑)?

河野:避けたいですよね(笑)。そういうときに「いや、僕らDX推進チームはこんなに頑張ってる!」と言い返してはダメです。「僕らが頑張ることで、将来的にあなたがやっていることがやらなくてよくなる」と、相手のメリットを伝えることが大切ですね。たとえば、「DXを推進すると、あなたの拠点の利益がこんなに上がるんです。そうするとあなたの評価も上がります」と、DXがもたらす現場への効果をきちんと表現することが一番大切ですね。

三石:大事ですね!

≪三石所長`s Memo≫
DX推進成功のためには、DX専門部署が中心となって
プロジェクトを動かすのが有効。
腰の重い部署にはきちんと相手のメリットを伝え、協力してもらうこと!

❚ DX推進は、IT人材だけでは成功しない!?現場感が把握できる人材と外のIT人材のバランスが必要

三石:別の視点で、もう1つ質問です。
企業はDXを推進するうえで、人員体制はどのようにバランスを取るべきでしょうか?
特に事業会社は、「自分たちはITわからないから」と、すぐにITに強い社員を中途で採用しようとしますよね。もちろん優秀な人材を採用するのは有効だと思いますが、ある程度、DXしたい業務の構造がわかっていたり、その業務の伸び方が予測できるような人材も揃っていないとDXは進みませんよね。

河野:その通りです。

三石:そうすると、DXを成功させるには中と外の人員体制のバランスが大切だと思うんです。中で現場感を把握している、きちんと成績を残している人材と、外のシステムを組み上げられるようなITに強い人材と、両方が必要になると考えているのですが、この考え方は合ってますか?

河野:三石さんのいう通りですね! 中と外の人材両方が必要です。ただ、現場に詳しい人にITの知識を身につけてもらうのは時間がかなりかかってしまうので、外部からプロフェッショナルを採ってきたほうが早くてオススメですね。そしてその方がDXのプロであれば、まず「事業構想や現場に何が起きているかを知りたい」って言うはずなんですよ。その希望に従って進めていくのが、間違いなく早いですね。

≪三石所長`s Memo≫
DX推進成功のためには、現場感を把握している「中の人材」と、システムを組み上げられるITに強い「外の人材」のバランスを取ることが重要

三石:なるほど! 今回のニュースも面白かったです。とても参考になりました!

―――次回の【GROWTH News】では、引き続き河野さんにTSUTAYAのデータ活用戦略のニュースをもとに、クラスタリング発注など顧客データ活用のポイントについて解説していただく予定です。ぜひお楽しみに!

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