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企業が取り組むべきサステナビリティ②食料と衣類の破棄問題【海外Hot Info】vol.21
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企業が取り組むべきサステナビリティ②食料と衣類の破棄問題【海外Hot Info】vol.21

今回のプレゼンターは、株式会社トラストバンクの森杉育生さん。「海外Hot Info」第21回は、前回に引き続きサステナビリティと企業の取り組みについて解説します。それでは、はじめましょう!

❚ 高級ファッションブランドがフリマサイトを作る?破棄問題へのブランドの対応とは

三石 今回もよろしくお願いします! 今回は、前回に引き続き「サステナビリティ」に関する企業の取り組みについてお伺いします。

森杉さん(以下、Mr.モリスギ) よろしくお願いします!

三石 前回は気候問題への対応ということで、カーボンニュートラルやNet-zeroについてお話を伺いました。特にNet-zeroはかなり厳しい規制が求められるということでした。今回は、破棄問題についてお伺いします。

Mr.モリスギ リユース・リサイクル・リデュースが可能であるにも関わらず、世界ではあらゆるものが捨てられています。中でも私たちにとって身近なのが、食料と衣類の破棄問題です。

そこで、今回はこれらの問題に対する企業の取組事例を交えつつ、今後どうなっていくのかについても話をしていきたいと思います。 

三石 まずは、こちらの数字ですね。かなり衝撃的だったのですが。世界で1300万トンの衣類が廃棄されていると。

Mr.モリスギ さらに衝撃的なのが、そのうちの95%はリサイクルできるということなんです。

画像出典:Oxfam Twitterアカウント

企業からすると在庫を過剰に抱えておくと保管コストだけでも莫大にかかりますし、消費者としても着古した服、飽きてしまった服はリサイクルやリユースされずに破棄されているのが現状です。

ところが、最近面白い動きが出てきています。高級ファッションブランドが、破棄問題をきっかけに二次流通市場のとらえ方を変えようとしているんです。

三石 二次流通市場というと、フリマだったり、古着だったりその辺の市場ということですね。高級ファッションブランドは二次流通市場に対して否定的な印象があります。

 Mr.モリスギ やっぱり、高級ファッションブランドって二次流通をやりたくないんですよ。ブランド価値が下がるから。

ただ、現実問題としてブランドのファンは二次流通市場も利用しています。ある意味潜在顧客と言っていいわけですが、彼らを完全に無視していた状態だったわけです。

それには気づいたものの、フリマのノウハウもないし、ブランドイメージも壊れるのであまり対応したくない、という状況が長く続きました。

三石 ところが、破棄問題やサステナビリティの意識の高まりによって、ブランド側の価値観が変わり始めたということでしょうか。具体的に、どういう動きが見えてきたのでしょうか?

 Mr.モリスギ 単に二次流通市場を許容するのではなくて、「ビジネス化できるんじゃないか?」という観点で自ら入り込む企業が出現してきました。

たとえば、GUCCIは自前のリセールストアを展開し始めました。いわゆる中古のGUCCIのアイテムをヴィンテージ品として扱うストアを作ったんです。ロイヤルカスタマーのような人たちが、GUCCIのプラットフォームを通じて昔のアイテムを売る仕組みです。

三石 そのプラットフォーム自体は、GUCCIが提供しているんですね。単に中古品を販売するのとは違うんでしょうか?

Mr.モリスギ 以前Drop文化のところでお話ししたSuperplasticという企業がありますが、こことコラボしてNFTを作ったりしています。

三石 なるほど! ただ「中古品を売ります」というのではなくて、GUCCIのアイテムという「モノ」にデジタルの価値を付与してブランディングしているわけですね。

Mr.モリスギ これで大量に廃棄が減るかと言われると、おそらくそんなことはないと思います。ただ、ブランドが二次流通を意識し始めて対策をはじめたというのはかなり良い傾向だと思っています。

≪三石所長`s Memo≫
二次流通市場を嫌っていた高級ファッションブランドが、新たなビジネスの場として二次流通市場を再定義し始めている!

❚ ブランドが自社サイトを持ち、二次流通に乗り出している

三石 GUCCIのほかにも破棄問題に取り組んでいるブランドはありますか?

 Mr.モリスギ 自社ブランドでB2CやC2Cのリセールマーケットを運営することを支援するArchiveというスタートアップの事例があるので、ご紹介します。

三石 今まで二次流通といえば、たとえばメルカリやヤフオクに出品するという販売の仕方が主流でした。そうすると、ブランドの手を完全に離れてしまいますよね。

そうではなくて、ブランド自身が二次流通マーケットを運営するということですね。

Mr.モリスギ そうです。そして、その手伝いをするプラットフォームがArchiveです。Archiveは、ブランドがホワイトレーベルで二次流通が可能なECストアを立ち上げ、そのオペレーション、数値管理まで一手に引き受けるサービスです。そういったビジネスが全く得意ではないブランドからすると願ったりかなったりですね。

Archiveを使った事例として、Oscar De La Rentaという高級ブランドがEncoreという二次流通ストアをオープンし、過去のコレクションで発表されたビンテージ品の売買ができるようになりました。これにより、ユーザ側では、高額転売、偽物/粗悪品販売、などのユーザの不利益を回避できるようになった上、ブランドからはこれまで全く見えていなかった二次流通市場のユーザが可視化され、ユーザジャーニーの拡大に成功したんですね。

二次流通市場に参入し、かつサステナビリティも一緒に解決するという今までにないアプローチなので、今後は増えていくかもしれません。

この形をとることで、二次流通マーケットによる高額転売や偽物、粗悪品販売などのユーザの不利益を回避できるようになりました。しかも、その商品が本物かという認定もArchive側でしてくれます。

三石 要らないものがあったら、フリマサイトじゃなくてそのブランドに売るということもできるわけですね。それは良いですね。

Mr.モリスギ ただ、高級ブランドはやりやすいと思いますが、汎用ブランドはよほど付加価値がないと難しいでしょうね。

三石 確かに。たとえばユニクロでも、普通に売られている商品ではなくて、ブランドとコラボしている商品だと売りやすそうです。

≪三石所長`s Memo≫
ブランド自身が二次流通プラットフォームを持つことで、高額転売や粗悪品販売などのユーザーの不利益を回避できるように! 

❚ 我々は、3Dプリンタで作った肉や野菜を食べるようになる!? クリーンテックの未来とは

Mr.モリスギ 続いては食糧の破棄問題ですが、今世界では、年間約13億トンの食糧破棄が起きています。これは、全人類が1年間に消費する食料の量の約1/3に相当する量なんです。

 三石 かなりの量ですよね。ただ、たとえばトラッキングして捨てられないようにするという方向性は、かなり無理がありそうと言うか……。

Mr.モリスギ そうなんですよ。食糧破棄については、やり方自体を考え直す時期に来ています。そこで注目されているのがバイオテックです。中でも面白いのがバイオマニュファクチャリングといって、もの凄く簡単に説明すると、家畜や農作物を育てるのではなくて、合成するという考え方のテクノロジーです。

三石 恐ろしい話ですね。

Mr.モリスギ これは別の話ですが、CRISPR(クリスパー)と呼ばれるゲノム編集技術も加わって、微生物を改変して人間にとって有効な化合物を効率的に生成するというのが技術的に可能になっています。

もう一つが「バイオリアクター」です。これは培養物を生成するための機器ですが、これを大量に増やしてスタートアップに開放すれば、食糧も飲料も大量に作れるだろうと。ただ、おそらく3桁兆円規模の投資が必要になってきます。

三石 市場としては膨大ですね。ただ、ツッコミどころがありすぎるんですけれども。

最近ニュースになっているフードテックに「プラントベース・ミート」というものがありますよね。培養肉とも言いますが。環境問題の解決に寄与すると言われる反面、個人的には、本物じゃないものを食べるというところに切なさを感じます。

Mr.モリスギ バイオマニュファクチャリングはさらにその上をいく概念ですね。事例を出すと、Cana Technologyというスタートアップが、1カートリッジから100種類以上の飲み物を作れる分子飲料プリンターを発表しました。

今すでに販売されている加工物としてのジュースやワインは、90%が水で残りは5-10%くらいらしいんですよ。残りの数%が砂糖だったり、ワインっぽい味を構成する物質だったり、オレンジっぽい味を構成する物質だと。

三石 え? 今流通しているワインがってことですか? 

Mr.モリスギ 全てがそうではないと思うのですが、多くのジュースやワインはそういう構成比らしいです。要するに、90%の水と、砂糖と味を構成する物質の比率を変えてうまく合成すればカートリッジで100種類以上の飲み物を作れるという、先ほどの話になります。

三石 プリンタートナーと一緒の発想。身体に悪いイメージしかないです(笑)。「ちゃんと野菜を食べましょう、果物を食べましょう」という話と真逆の方向性ですね。

Mr.モリスギ 3Dプリンタでステーキ肉も再現できるという事例も出てきていますよね。ちなみに、先ほどプラントベース・ミートの話がありましたが、プラントベース・ミートは大豆などの植物を主原料にしていますよね。

このバイオマニュファクチャリングでは、肉はバイオリアクターで作ります。

三石 大豆とかだと、大豆を作る工程があるからですか? こう言っちゃなんですが、ほんとに恐ろしいです(笑)

Mr.モリスギ 培養することで、原材料を工場に運ばなくてよくなります。そうすると輸送コストがなくなるわけですよね。

これから研究開発が進んで製造コストが低くなって、さらに普通の食材よりも美味しい状態になったとき、家庭に3Dプリンタがあれば、あとは水とカートリッジと電気があればいいという状態になります。そうすれば、在庫問題も解決する。確かに恐ろしい話ではありますね。

三石 この考え方だと、もはや「地ビール」とか「松阪牛」とかの概念がなくなりそうです。

Mr.モリスギ おそらくここにもクリエイターが関わってきて、合成の中でどれだけ美味しいものが作れるかで競い合う世界になるんじゃないでしょうか。そしてそれがブランド化して、ある意味一周回って地ビールのようなものが生まれるのかもしれません。

三石 産地ではなくて、それを作った人の名前でブランド化される。

なるほど……。50年後には、そんな世界が現実になっているかもしれません。

≪三石所長`s Memo≫
バイオマニュファクチャリングで、食事やローカルの概念が変わる日がやってくる! 

三石 今日も刺激的なお話をありがとうございました! また次回も楽しみにしています。

(撮影場所:WeWork リンクスクエア新宿)

―次回の【海外Hot Info】も、ぜひお楽しみに!

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